英文法 単元別質問と回答

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and は何をつないでいるのか?

 

Q:

 

こんにちは。またよろしくお願いします。
文法的にどちらが正しいのでしょうか?

 

I want you to clean your room and make lunch.
I want you to clean your room and to make lunch.

 

 ↓
 ↓
 ↓

 

A:

 

 私見ですが、私は次のように考えています。(少し例文を変えますが)
a) I want you [to sing and dance].
b) I want you [to sing] and [to dance].
a)は「私はあなたに歌い踊る(=歌いながら踊る)ことを望む。」で、b)は「私はあなたに歌うことと踊ることを望む。」
 つまり、andがつなぐ要素がa)ではsingとdanceであり、b)ではto singとto danceです。ちょうど、a doctor and teacherは「医者かつ教師(一人)」とa doctor and a teacherは「医者と教師(二人)」と同様な関係だと思いますが、いかがでしょうか?

 

 

RE:

 

あきひろさん、ありがとうございます。お久しぶりですね。ということは、どちらも文法的にはおかしくはない、ということですね。あきひろさんの解釈で私の例文を訳すと、
上「私はあなたに掃除をしつつ昼食も作って欲しい」すなわち同時に2つのことをして欲しい、となり、
下「私はあなたに掃除をして、それから昼食も作って欲しい」のような感じでよろしいでしょうか??

 

 

RE:

 

> I want you to clean your room and make lunch.
> I want you to clean your room and to make lunch.

 

この2つの英文は,to の有無に関係なく,同じものだろうと思われます。

 

あきひろさんが No.2195 で指摘した to sing and dance は,to sing dancing と書き換えができるような特別の場合で,2文に分けることができないケースです。

 

しかし,今回の to clean your room と to make lunch は全く別の行為と考えられ,次のように2文を合わせたものと考えるのが自然です。

 

I want you to clean your room.
I want you to make lunch.

 

(このことは,例えば I cleaned my room and made lunch. といった文を考えて見ると明らかだと思います。これは普通「掃除をしてそのあとランチを作った」という意味なのではないでしょうか。I sang and danced.=I sang dancing. と同じように「ランチを作りながら部屋を掃除した」と理解する人はいないだろうと思います。)

 

このようなケース,つまり to 不定詞が等位接続されているような場合,to はあってもなくてもよいようです。そのことは "A Comprehensive Grammar of the English Language" (CGEL) の,

 

> I've asked him to come this evening, or (to) phone us
> tomorrow.

 

の(to)という扱いで確認できるのではないでしょうか。

 

この例文は等位接続詞 or による連結の例で,to は省くことが可能だそうです。

 

 

RE:

 

Emanonさん、ありがとうございました。
>to 不定詞が等位接続されているような場合,to はあってもなくてもよいようです。
この結論を知ることが出来て、よかったです。
では、続いての質問で恐縮ですが、今回の不定詞は名詞の用法が扱われましたが、副詞用法が並ぶ場合も同じように考えてよろしいのでしょうか??
I went to Hiroshima to meet friends and to see Genbaku Dome.
=I went to Hiroshima to meet friends and see Genbaku Dome.
よろしくお願い致します。

 

 

RE:

 

 Emanonさん、いつも有益な情報をありがとうございます。

 

 私の述べた考えは、あくまで原則であり、それに反するような場合もありえると思います。例えば、私が例に出したa doctor and teacherのような例にしても、誤解の恐れが無い場合にはa doctor and a teacherの意味にもなりえます。ジーニアスのandの項目には次のような説明があります。
 『誤解のおそれがなければ、2人を指す場合でも後の冠詞は省略可。次例はbothで2人とわかる:The poet and (the) novelist were both present at the meeting.』
 ここで私がポイントにしたいのは、andが等位接続詞であることを考えれば、この場合でも冠詞を繰り返すほうが規範的であろうということと、冠詞を省略するのは言葉の経済性の結果とでも言うべきもので、誤解の恐れの無い場合だけの特別な場合であるということです。

 

 このように考えると、Emanonさんが示された例文:I've asked him to come this evening, or (to) phone us tomorrow.にも同様のことが言えるのではないでしょうか。つまり、この例文ではorという接続詞のために誤解の無いシチュエーションだからこそtoの省略が許されているのだと感じるのです。

 

>to 不定詞が等位接続されているような場合,to はあってもなくてもよいようです。

 

 このことを一般化したルールにするには、私の挙げた例文:I want you to sing and to dance.のような場合においても、「to danceのtoは省略可能であり、したがって、I want you to sing and dance.は2つの解釈が可能である」と言える必要があると思いますが、いかがでしょうか。私はEmanonさんが参照された文法書を持っていませんので、もう少し明確に説明してある箇所は見つかりませんか?

 

 拓未さんの挙げられた例文で考えると、「ランチを作りながら部屋を掃除する」ことが大半の人にとって不自然であり、「ランチを作った後で部屋を掃除する」としか理解されなく誤解の恐れが無いのであれば、前者の解釈は否定され、I want you to clean your room and make lunch.はI want you to clean your room and to make lunch.と同意になりえるのかなと思います。(もっとも、私には、「ランチを作りながら部屋を掃除する」ことがそれほど不自然な状況とも思われないのですが。)
 もう1つ、clean your room and make lunchは必ずしも同時でなくてもよいのではないかと思います。要はその二つの行為を一まとまりの一連の動作と見るかどうかではないでしょうか?

 

 

RE:

 

拓未 さんの,

 

> 副詞用法が並ぶ場合も同じように考えてよろしいのでしょうか?

 

ですが,CGEL の説明を引用すると:

 

> I've asked him to come this evening, or (to) phone us
> tomorrow.
> [COORDINATE TO-INFINITIVE CLAUSES][5]

 

> Again, if the initial subordinating word (such as the to in
> [5]) is common to both clauses, it may be omitted in the
> second and subsequent occurrences.

 

とあります。"to 不定詞(句)" and/or "to 不定詞(句)"といった連結において,2番目(3つ以上の連結についてはそれ以降)の to は共通しているので省略できるということのようです。これは英語全般で考えられる「重複を嫌う」という発想に基づいたものなのではないかと思われます。

 

ということは,用法に関わらず,省略可能と考えてよいでしょう。

 

また,あきひろさんの,

 

> この例文ではorという接続詞のために誤解の無いシチュエーション
> だからこそtoの省略が許されている

 

も,CGEL の説明からすると,違うように思います。

 

不定詞ではありませんが,with による付帯状況を表す場合も同様らしく,

 

> With George ill and (with) the children at home, Jenny is
> finding life very difficult.
(2番目の with は省略が可能)

 

という例が挙げられています。これもやはり共通項だからなのでしょう。

 

それから,あきひろさんへのコメントですが,

 

> I want you to sing and dance.は2つの解釈が可能である

 

は確かにその通りだろうと思います。残念ながらCGELにはその点について明確に書いてないようで,推測のコメントになってしまいますが,to が省略されない場合は,歌うと踊るは別々ですが,省略されるとto sing dancing の可能性が出て,意味が曖昧になると思います。
(ただし,曖昧になるから to をつけて区別しなければならない,ということではない)

 

> もう1つ、clean your room and make lunchは必ずしも同時でなく
> てもよいのではないかと思います。要はその二つの行為を一まとま
> りの一連の動作と見るかどうかではないでしょうか?

 

これは他に文脈を考えればあり得るかも知れませんが,CGEL の説明を読むと,sing and dance = sing dancing のように,やはり同時ということが「1セットの意味を表す」要件のような気がします。

 

というのは,CGELは(これは前後の文脈がないとしての話ですが)

 

> Peter washed and dried the dishes.

 

を,

 

> Peter washed (the dishes) and (Peter) dried the dishes.

 

とできる(つまり2文にできる・2つの命題と考えられる)とする一方,

 

> Many young wives [go to work] and [put their children into a playgroup].

 

 

> Many young wives go to work, and many young wives put their children into a playgroup.

 

とすると意味が異なるという例を挙げています。

 

動詞をつないだ場合,「働きに出ること」と「子供を預けること」は同時進行の意味があるので,これを2文にして別々にすることができないということだろうと思います。これに対して皿洗い+皿拭きは,同時の行為ではないわけですから2文を合わせたものとして見ることができる。

 

このような例の挙げ方からすると,今回の I want you to clean A and (to) make B のようなto不定詞の等位接続は,sing and dance(=sing dancing:2文にできない)と同じレベルで考えないほうがいい。私としてはそのように判断したいと思います。

 

 

RE:

 

 Emanonさん、回答ありがとうございます。

 

>> I want you to sing and dance.は2つの解釈が可能
>>である

 

>は確かにその通りだろうと思います。残念ながらCGELには
>その点について明確に書いてないようで,推測のコメント
>になってしまいますが,to が省略されない場合は,歌う
>と踊るは別々ですが,省略されるとto sing dancing の
>可能性が出て,意味が曖昧になると思います。
>(ただし,曖昧になるから to をつけて区別しなければな>らない,ということではない)

 

 Emanonさんとのやり取りで、私の考えも少しまとまりました。この( )内の部分が、私とEmanonさんの考えの相違点だと思います。改めて考えると、「誤解のある場合」とは同時に起こりえる2つの要素がandでつながれている場合に生じ、その場合には前置詞を省略しないと考えていたのですが、これについてはEmanonさんが指摘されているように、明確に記述されていないので私見にしかなりませんよね。今後どこかでこれに関する記述を見つけたときには改めて投稿したいと思います。

 

 ところで、話は少しそれるのですが、CGELの例文:Many young wives go to work, and many young wives put their children into a playgroup.に関してですが、これは「同時性を持つ2つの動詞を2文に分割すると、その2つの行為は同時性を持たない」ことを示すために挙げられていたものですよね。この場合、後ろの文の主語に不定のmany young wivesを繰り返すと、私には、前の文の主語と同一には感じられません。2つの行為をする人物を同一にしておかないと説明のポイントがぼやけてしまう気がするので、Many young wives go to work, and they[the wives] put their children into a playgroup.とでもした方がこの部分の説明にふさわしいように思います。私のこの感覚は間違っていますか?

 

 

RE:

 

Emanonさん、あきひろさん、解説をしてくださってありがとうございます。しかも中途半端なタイミングでの返信、申し訳ございません。お二人の考え方や検証がとても深く、参考になります。付帯状況のwithも省略が可能だとは知りませんでした。

 

 

RE:

 

あきひろさんの,No.2205 ,

 

> CGELの例文:Many young wives go to work, and many young wives
> put their children into a playgroup.に関してですが、これは「同
> 時性を持つ2つの動詞を2文に分割すると、その2つの行為は同時
> 性を持たない」ことを示すために挙げられていたものですよね。
> この場合、後ろの文の主語に不定のmany young wivesを繰り返すと、
> 私には、前の文の主語と同一には感じられません。2つの行為をす
> る人物を同一にしておかないと説明のポイントがぼやけてしまう気
> がするので、Many young wives go to work, and they[the wives]
> put their children into a playgroup.とでもした方がこの部分の
> 説明にふさわしいように思います。私のこの感覚は間違っています
> か?

 

について,先のコメントを訂正します。あきひろさんのご指摘の通りでした。

 

Many young wives ... and many young wives ... の例は,省略があるとする考え方はすべてのケースで通用するわけではないことを説明するためのもので,文頭の Many young wives を「そのまま補った」ら,先行の many young wives と 後出の many young wives は違うものをさすことになってしまう,ということでした。ですから many young woman を they に置き換えれば成立します。

 

このことは,その後の説明でも取り上げられていて,その部分を読んで私の読み違いと確認できました。

 

こうなると,私の説明の意図とは会わなくなりますので,先のコメントは撤回します。

 

 

 

 

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